仕事場の大屋根の雪止めが壊れそうなほど積っていた雪も、ここ数日の春が来た様な好天と今日の小雨ですっかり溶けてしまいました。
雪の下でじっと耐えてきたプランターのパンジーも新しい花を咲かせ、店のポスターも“寒餅”から節句の“ひし餅”に張り替え、お雛様を飾り当店にもやっと春がやって来ました。
先日『桃の節句』について書いてあるものを改めて探していたら、昭和45年に金沢生菓子専門店会の二十周年行事の一項として編集された【生菓子屋読本】の中に書かれたものがありましたのでご紹介します。
『女子が生まれた時に、上より赤・草・白の順(現在は赤・白・草)の菱餅を嫁の里より婚家先へ贈る。ひな菓子・ひなあられ・白酒・干だらを菱餅に副える習慣と成っている。
菱餅はひし型の折に搗いた餅を入れ作る。折には1升入・1升5合入・2升入の3種類がある。
婚家先へは大きいまま切らないで贈り、頂いた家では適当に切り親戚や知人近所に分贈する。
菱餅の白は地面、草は芽を表し、赤は花の意味である。又一説には冬は白、春は草、夏は赤で秋は無いから「あきない」で一年を表すとも云う。
現今は下より草・白・赤の順となっているが、これは色どりが良いためである。』
時の流れが速い今、40年程前の事柄は昔の行事の様に思われるが「武士の家計簿」の映画化などで昔の仕来たりや行事が見直されてきている中、一時「甘いだけや!」と敬遠されていた金花糖も又めずらしがられている様です。
金花糖、ひなあられと順に店頭から消え今ではひし餅とさくら餅だけ販売している当店も見直しの時期に来ているのかもしれません。
凝り固まった店主の頭も、春の訪れと共にほぐさなければ・・・
何年たってもお雛様は変わらないけど、貴方はねぇ〜