OKAMIのぼやき

 

三代目の饅頭屋に嫁いで30数年、この中で結ばせて頂いた数々のご縁・・・
商売とはまるで縁のない家庭に育ち一つずつ教えられ今日が在る。
でも・・・これは?と云う思いがぼやきとなる。

『 時 は 流 れ る・・・ 』

11月に入って比較的穏やかな日が続いたと思っていたら、昨日は冬の到来を思わせる様な時折霰も降る雨嵐・・・
       
 この時期の金沢では各家々やお寺で報恩講が行われ、当店でもお供え用のお餅の注文を受けたり店頭へ買いに来られるお客様を迎えております。数年前まではお坊様へは勿論のこと隣近所でお供えのおすそ分けと云って餅を配り合ったものですが、最近は仏様へのお供え餅だけ買われる方が多くなりました。
 
 先日、姑の実母の17回忌法要をお寺で努めて頂きましたが「お供えにお餅は?」と聞いたところ「お寺にはお餅が沢山集まっとるやろから洋菓子にしよ。」との姑の返事に、皆もそんな心使いから餅を使わなくなったのかなと納得!? 
 
 考えてみれば、食べる物が不足しがちの時代は集まった餅もあちこちへ配って喜ばれていたと思いますが有り余るほどの飽食の時代、報恩講の餅や厄除けの餅が集まるお寺や神社が後の始末に困っている話が出ているのは仕方ないのかも知れません。これも時代の流れで抗われない事・・・
 
 数日前の新聞記事に、中心市街地であり『金沢の武家屋敷跡』として観光スポットとも云われている長町にある、地域の人達に利用されているスーパーが建物の老朽化で店終いしたと載っていました。
 古くからの街筋のこの地には高齢の方々も多く、繁華街に近いとは云へ日々の暮らしに欠かせない生鮮食品を買うのに困るとの声に、スーパーに出店していた魚屋さんが出店前に商売をしていた場所で魚屋を商うことを決め、ゆくゆくは野菜も置いて地域の皆に役立ちたいと仮店舗で営業し始めたとも載っていました。

 当店の近くにも六年前までは地域の人達が利用していたスーパーが在りましたが、近隣への大型スーパー進出やその他の事情も重なり営業が継続できないと云って店終いしてからは年々街を歩く人達も減ってきたように思います。
 六年前に比べ地域の人達の高齢化も進み、それと共に少し足を延ばさないと生鮮食品が買えないので困っているとの話も聞こえ、商店街の燃料店が二年前から野菜を扱う『ござれ市』を商い始め今では総菜なども並べて重宝がられています。

 横のデパートと云われていた商店街も、長年営んだ店をたたまれる方が次々・・・寂しくなってきました。

 行事の形態も時代と共に変わり生菓子や餅・赤飯などを使われる事も少なくなりましたが、金沢のしきたりを大切にしている方々が居られる限り生菓子屋は必要なのではないかとの思いもあり、伝え継いで行かなければと思っていますので今後とも宜しくお願い致します。。

  

バブル時には、こんな時代が来るとは夢にも思ってなかったねぇ〜


2010/11/10

高鼾の店主の寝顔を見ながら私はぼやく・・・

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