旧暦の節句も終わり、当店でもいよいよ夏の朝生菓子を並べ始めました。
ささげ餅・笹餅・くず餅と月並みの品で、くず餅も漉し餡を包み込んだ『葛桜』とも呼ばれている品だけですが生笹で巻いたのが当店の特色です。。
山へ笹を取りに行くのが店主の夏の仕事で、手頃な美しい笹も5月終りにならないと育っていないので店頭に並べるのが遅くなるのです。
葛はマメ科蔓生の多年草で山野に自生し他の植物に蔓を絡ませ枯らしてしまうほどの生命力があるそうです。
地下に肥大したイモ状の塊根から取れた澱粉が葛粉となります。
精製された葛粉が商品化されたのは室町時代で、江戸時代には大和国吉野産の葛が上等品とされ『吉野葛』として有名です。
奈良県吉野の他には、岐阜・三重・石川・福岡県が知られていますが現在は鹿児島県が全国生産量の90%を占めている様です。当店のくず餅は、奈良県の『大和葛』で作っております。。
当店の作り方は、葛粉と砂糖を合わせて蒸気で蒸し煮でそこへ熱湯を加え練り上げ、半透明に練り上がった葛に餡を包み込んだものを蒸し上げます。
冷たくして召し上がるのも美味しいですが、出来たての熱いくず餅も美味しいものです。
くず餅に似た菓子で『わらび餅』があり、店主に作る様に勧めた事もありますが頑固なほどに自分の嗜好を優先させている為、本当の蕨から採れる蕨粉が稀少な事もありサツマイモやタピオカから採れる澱粉あるいは葛粉を使ったわらび餅が多い現在「美味いと思わん!」と言って作りません。
くず餅だけでなく朝生菓子で美味しいのは、出来たてが一番!!
13日に香港から所用で日本へ来た娘婿と共に来て、一人で滞在中の3才の孫息子は起きてすぐ搗きたての餅を食べ満足して過ごしております。
幼稚園での餅搗きの時も当店の孫達は、他の子供さん達が食べる数倍の数を数倍速く食べているそうで、店主・息子・孫と餅屋に生まれて良かったと思っている一族です。。
願わくば世の中の人が皆こんなだったら、 当店の行き先は明るいのにと思うこの頃です・・・
餅を食べると元気に過ごせる!と、見本は揃っているのにねぇ〜