兼六園に過去最高の人出を誘った満開の桜の花も、遅咲きの八重桜を残し葉桜へと移り2〜3日前から店頭に並ぶ朝生菓子も、さくら餅から柏餅・まきだんごなど端午の節句の品々へと変わりました。。
春も3月、少し暖かくなり始めた頃からお客様に「まきだんご、まだ作らんが?」と尋ねられる事が多くなります。
昔から旬の季節に作る事にこだわる店主は、さくら餅が1月頃から並ぶ季節の先取りにはついて行けず、品数の少ない1〜2月には『さくら餅でも並べれば良いのに!』と思っている姑や私の思いを余所に3月まで作ろうとはしませんでした。
柏餅・まきだんごも、五月の節句を前にお客様から注文を頂いたり店頭での声に急かされる様にやっと並べる事が出来ました。何時もながらお客様をお待たせして申し訳なく思っております。。
先日全国菓子工業組合連合会より発行された冊子【おいしい和菓子は良い素材から】に原材料について載っていたものを一つご紹介したいと思います。
★柏餅・・・柏の葉
採取した葉を一年間乾燥させたり、塩漬けにしたりして保存して用います。それがあの独特の香りを生み出すのです。
地方によってはサルトリイバラ(別名 山帰来)の葉に包んでいるものもあります。
柏の葉が用いられるのはその葉に薬効があるためで、夏の間に売られる餅に用いられたと考えられるが、その昔柏の葉が食器として食べ物をのせる事に用いられていた歴史も一因としてあげられます。
柏の木はブナ科の植物(栗・大葉など)で柏の葉は秋も冬もしっかりと木に付いていて、春になり新芽が出て来る事により散り云わば新芽の育つのを待って葉を落とすのです。
それが、後継者が育つ事を何よりも大切にした武家社会において縁起の良いものとされ、端午の節句に用いられました。
また一説には餅で餡を包む時の手付きが拍手を打つ動作に似ていて目出度いとの意味もあった様です。。
当店の柏餅は、上新粉(ご飯米の粉)をこねて蒸して搗いたものに一千切りの餅を入れ搗き上げた生地で漉し餡を包んでおり、少しもっちりしている様に思います。柏の葉は塩漬けのものを用いております。
改めて先人の願いを知り、心を込めて作りお客様にお届けして行きたいと思っております。。
五月の空を泳ぐ鯉の様に、悠々と生きる?あるいは吹き流し!?