OKAMIのぼやき

 

三代目の饅頭屋に嫁いで30数年、この中で結ばせて頂いた数々のご縁・・・
商売とはまるで縁のない家庭に育ち一つずつ教えられ今日が在る。
でも・・・これは?と云う思いがぼやきとなる。

『 伝 え 継 ぐ も の・・・ 』

今年の春は駆け足で来る?と思っていたら、先々週末からの寒の戻りで雪の舞う日が続きほころんだ梅の蕾に降り積もっていました。
 
 そんな寒い中2月19日に、金沢市内の商店街おかみさん達の勉強会を兼ねた新年の集いが金沢スカイホテルで開かれ、金城大学短期大学部・客員講師の帆苅宏典氏が今話題になっている「金沢しぐさ」の元となった「江戸しぐさ」の生まれた背景と、人々の中での広がりを史実の中から本当に丁寧にお教え下さいました。 
 
 人間社会の秩序と繁栄を辿る時、商人町方に育った相互扶助と人間の“躾”第一義の思想が商人町方のリーダーシップで維持され、生活に必要な知識・知恵・行動規範・作法・礼節が行動と口伝で脈々と根付いたと云う事でした。       
 
 当店など生菓子屋の商いも、四季折々や人生の節目の時に武家文化と仏教文化の混在する金沢の地で綿々と語り継ぎ育てられて来た伝承文化の中で商わせて頂いているのだと改めて思いました。
 
 戦後、経済・文化・教育が時代の大きな変動と云う波の中、親から子 子から孫への口伝が上手く伝えられなくなった事が今日の社会で起きている様々な歪みの一因かとも思われました。。   
  
 幸い戦火から逃れた金沢は、日本の中でも比較的昔の佇みが残されているので、古き良き時代の姿を取り戻す為か?近頃は調査・検証など様々な取り組みがされているようです。  
 
 景色や形式がたとえ取り戻せても、おもいやり・やさしさ・もてなしの心など豊かな心を持ち、姿勢・作法・規範など豊かに育まれた生活を今一度取り戻すには幾多の年月を要するものかと思うと失ったものに心が痛み、まずは大人である私達が襟を正さなければと思いました。。
  
 氏が話されるには、良き次世代を育てる為に自ら範を示し指導するには、まずは「挨拶」から始めなければとの事で『自ら心を開き相手に向かい、相手の心に触れて心を開かせる』基本の姿!

 昔私共の商店街の文房具屋さんで、たとえエンピツ一本・消しゴム一ヶでも買ってくれた小さな子供にも(ほとんどが子供のお客様)「あんやと!あんやと!」と顔をクシャクシャの笑顔にして接客する事で有名な店主がいらっしゃいました。   
 当店の店主も、この方の思い出話をする時には本当に嬉しそうな顔をしています。
 
 金沢の伝承文化の中で生きる生菓子を語り継ぎ商わせて頂くと共に、お客様が思い出した時に優しい気持ちになれる様な接客が出来たらいいなぁ〜と思っています。。

  

「文化的に酒を飲まなきゃ〜」と言ってるテレビのコメンテーターの言葉に頷いている貴方の後姿・・・
本当に分かっとる!?


2009/2/24

高鼾の店主の寝顔を見ながら私はぼやく・・・

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