二月も十日を過ぎました。吹く風こそ冷たく感じるものの春の様な陽光の中、暖かい穏やかな日々が続いております。
例年なら、寒明けの二月初旬にかけ最後の雪が空から降りて来るのが北陸の冬の幕引きだったのに、旧暦の正月前後に降った能登でのドカ雪を最後にいっきに春が来た様です。。
春を迎える行事も次々と行われ、三日には節分四日は立春そして十五日には涅槃会と続き、それらの仏事では餅をお供えする事が多いものです。
当店でも、節分の日には信者さんの合同厄除け用の鏡餅を永安寺さんから、立春には幾つかの曹洞宗派合同で行われる立春の仏事にお供えの鏡餅を真行寺さんからご注文を頂きました。。
餅屋家業をしていると、お寺、神社の諸事にお供え物をお届けする事で関わらせて頂いているのがよく分かります。
真宗王国と云われたここ金沢で菓子屋は勿論の事、生け花や茶の湯が盛んなのも仏教文化の中で育てられたところもあるのではと思ったりしています。
仏事と云えば、最近お客様からお供えについて聞かれる事が多くなった様に思います。
今までお年寄りが世話をしていた仏壇を任されてどうして良いか分からない・・・本来は毎日の生活の中で徐々に受け継がれて行くものが、急に引き受ける事になり戸惑ってしまわれる方が多くなった様に見受けられます。
先日、あるお寺から頂いた『宝暦』に仏壇について書かれていたので簡単にご紹介します。(標準的なものなので詳しくはお寺に!)
◎仏壇とは
仏壇の中は仏様のおいでになる世界で、ご先祖をお祀りする場所。【家庭の中のお寺】
◎仏壇を祀る意義
仏教徒として生きる信仰実践の拠り所としてある。
先祖を祀ると云う事で、生命から生命へと受け継がれて自分があると実感する。
◎仏壇の祀り方
仏壇の中心はお釈迦様。
☆上段中央には木彫りや鋳造のお釈迦様を祀る。
先祖の位牌はお釈迦様の左右に祀る。
向かって左は新しい位牌・右は古い位牌
☆中段にはお供え物を供える。
基本は五つの供え物(香・花・灯明・水・飲食物)
餅などのお供えは台が2つの時は両脇に、1つの時は右に、無い時は中央にお供えする。
お供え下ろしは皆で分け合って頂き、頂き物などもまずはお供えをしてから頂きましょう。
☆下段には三具足を置く。(供え物の内の香・花・灯明)
向かって左側より花立て、香炉、ロウソク立ての三具足を置く。
お参りの必要品も下段に(右にリン、その他経本や数珠など)
混沌とした今の世の中で、ご自身は勿論小さな子供達が居る家庭では幼い頃から共にお参りする時間を持つ事は真心に生きる姿勢が生まれるそうです。
最近は、神社お寺共にお供え下ろしの餅などの処分に困ってるとの話もよく聞かれ相談を受ける事もあり、餅屋は造るだけでなく後の始末も考えなくてはならない時代になったのかもと思ったりしてます。。
食べ物を粗末にする事に、心を痛める気持ちだけは忘れない世の中であって欲しいものです・・・
季節は春を迎えても、商売は冬・・・春を呼び込む手立てはある!?