OKAMIのぼやき

 

三代目の饅頭屋に嫁いで30数年、この中で結ばせて頂いた数々のご縁・・・
商売とはまるで縁のない家庭に育ち一つずつ教えられ今日が在る。
でも・・・これは?と云う思いがぼやきとなる。

『 涅 槃 会 と 春 の 彼 岸 ・・・ 』

『涅槃会』とは、お釈迦様の入滅(命日)の旧暦2月15日に供養する法要の事を云います。(現在は3月15日に行う寺もある。)涅槃図を揚げて遺教経を読誦する様だ。
      
輪島の総持寺では、毎年修行僧や地元の女性達で〈犬の子団子〉と云う犬やヘビを模った団子を大小一万個前後を作っている。
〈犬の子団子〉は、お釈迦様入滅の時に周りを取り囲んだ生き物すべてを模ったとも云われ、能登の方では山に入る時のマムシ避けとも云われています。  

金沢の大乗寺でも、毎年地元の女性達に手伝って貰い〈涅槃団子〉を作っている。 
その他の寺でも2月15日から3月15日にかけての間に、涅槃講参りの人達に配る為、お釈迦様の分骨としての〈涅槃団子〉を寺で作ったり餅屋に注文したりしている様です。 

 金太郎飴の様に、模様の入った団子を器用に作られる餅屋さんもおられましたが・・・
【当店の涅槃団子は】
上新粉(米を水洗いして乾かし、粒子の細かい粉にしたもの)を水で練る〜蒸す〜搗く(少し粗熱を取る為冷ます)〜再び搗く(塩を少し入れる)〜円柱に伸ばして固める〜固まったら5mm程の小口切りにする。           
上の様な工程で赤・緑・黄・紫・白の五色で造っていました。お寺では、これを全色数個入りを一袋にして涅槃講に集まった信者たちに配っていたようです。。

 私も子供の頃、手作りのお守り袋に入れられた団子がカチカチに干からびてクズクズになっても次の年までランドセルの横にぶら下げていたものです。当店の子供達にも毎年持たせていました。

 『春の彼岸』とは、春分の日を中日としてその前後七日間の事でその間に行われる仏事を『彼岸会』と云って、平安初期から朝廷で行われ江戸時代に庶民の間で年中行事化したようだ。

春の彼岸と云えば、金沢・笠市町(金沢駅近く)の照円寺の〔地獄極楽絵図〕の開帳が昔から有名だ。
子供の頃、この寺の近くに住んでいて何度か見に連れて行かれた。「嘘をついたら舌を抜かれる」「悪い事したら針山地獄歩かせられる」とか云われ、鬼と共に描かれた八大地獄の絵図を見たり・・・ハスの花が咲き乱れる極楽の絵図をドキドキこわごわ見て回った事を思い出します。

〈天知る・地知る・子知る・我知る〉と昔の人達は、戒めと救いを小さな頃から考える事を教えていた様に思う。店主は子供達が小さい頃、小松にあるハニベ洞窟の鬼の処へよく連れて行っていた。
最近、地獄絵図よりおぞましい事件が次々起こる事を思うとこの先が心配になる!
 
 お彼岸には、「おはぎをお供えにお墓参り。。」と云って朝早くから買い求められたものだがそう思う人も年々少なくなってきてる様だ・・・
それでもお彼岸にはおはぎを!! 一説では秋がおはぎ(萩の花)春はぼた餅(牡丹の花)とも云われているが、当店は春も秋もおはぎで小豆の潰し餡がついたものと塩味の黄粉がついたものの二種類にて販売いたしております。。
  

  

饅頭屋の春は次々と行事が続き忙し〜い、ん〜忙しかったと云うべきか今は春眠何とかか!?


2008/3/16

高鼾の店主の寝顔を見ながら私はぼやく・・・

OKAMIへ