OKAMIのぼやき

 

三代目の饅頭屋に嫁いで30数年、この中で結ばせて頂いた数々のご縁・・・
商売とはまるで縁のない家庭に育ち一つずつ教えられ今日が在る。
でも・・・これは?と云う思いがぼやきとなる。

『 2009年 正 月・・・ 』

さざんか 新年明けましておめでとうございます。

 暮れの餅搗きも無事済ませて、今は穏やかな正月を過ごしております。 
 世界中を巻き込んでの不景気の中、例年の様に当店にとご注文下さったお客様に感謝、感謝です。。   
 
 (写真は店主との結婚記念植樹として金沢市より頂いた苗木を庭に植えた“さざんか”が、暖かさのせいか何時もより樹いっぱいに花を咲かせました。)       
  
 最近金沢の伝統や食文化が見直されている中、暮れの北国新聞の『ほくりくの食歳時記』に金沢生菓子専門店会会長の中崎さんが〔金沢の餅〕について「のし餅(押餅)はコシと滑らかさにこだわり、だしで煮た餅に鰹節・セリを添えるごくシンプルな金沢の雑煮は、餅が美味しくなければ始まらない。」と書かれている。 
 金沢の餅屋がほとんどしている様に当店でも、蒸した餅米を杵が振り下ろし搗き上げる『胴づき』製法でコシがあるのが特徴です。
    
 某料理人の話では、加賀藩は藩祖利家公の時代から京文化の影響を受け、四條流有職料理の流れを汲み質素の中にも品格を求め作り上げられたのが加賀雑煮だそうです。 
 『品格』と云う加賀藩の文化振興は、武家だけでなく庶民の日々の暮らしに高い文化性と洗練された美意識を自然な形で浸透させていったそうです。
 山海の食材に恵まれた金沢の『地物』で作るおせちには、あっさりとした雑煮が合う様です。。

 正月用として注文頂く餅としては、のし餅のほか「鏡餅」「小鏡餅」「小餅」「とぼ餅」があり中でも「とぼ餅」は焼いて食べるのに色々な具を入れて作ります。 豆切餅 昆布切餅 
 一般的には豆・昆布・が知られていますが、当店ではえんどう豆・ゴマ・黒砂糖・青のりなどを入れた餅を注文されるお客様もいて黒砂糖は倍搗かなければいけなく黒砂糖がなかなか混ざらなくて店主泣かせですが一度食べられたお客様からは喜ばれています。
    
 又毎年決まって「ゴンダとぼ」と云って餅米にうるち米を混ぜご飯米のツブツブとした食感と焼いた時の香ばしさを好んで注文下さるお客様もいらっしゃいます。。
 
 今は何時でも餅が食べられますが、やはり美味しいと思えるのは寒い時期ではないでしょうか?
 
 昨年の暮は例年に比べて暖かい日が多く、毎年は水を切った餅米を水枡で計ってセイロに入れている店主の手の甲が餅搗きが終わる頃にはあかぎれになっているのが荒れてない、私の指先にもあかぎれが出来ていない、身体も比較的楽に思え、「温暖化で助かる事も有るんやねぇ〜」と云っていた。

 ところが、30日に一軒のお客様から「昨日配達してもらった紅白の鏡餅の白餅が割れてきて重ねられない!」といった電話があり、店主が引き取りに行ったところ丸いお鏡の真ん中が持ち上げられた様にめくれあがって割れた餅を渡され、今だかって見た事の無い様な割れ方に驚いたのと1〜2日で割れる事も考えられなくて持ち帰った。
考えられるのは、「暖かく乾燥した所に置かれていたのでは?」と云う事だがお客様からは「何時もと同じに置いてあった」と聞き、赤餅が割れていない事と合わせ不思議な思いだけが残った。。
 変わりの餅を搗いてお届けしたのは勿論の事、参考の為にと今日まで仕事場に置いた餅はひび割れは残したものの元の丸い形に戻っていて本当に不思議な現象としか思えず、やはり寒い季節には寒くならないと色々な変事が起こるのではと心配しています。

 手伝いの為に帰沢していた娘も東京の生活へと戻って行き、店主と姑と三人の一年が始まった。12日前後は成人式、その後寒餅から節分と饅頭屋の1〜2月は今暫く仕事が続きます。三人合わせて二人前ぐらいに成っている私達ですが今年も宜しくお願い致します。。

  

三が日続けていた朝酒も今年は元日だけ、自重しているのか弱くなったのか!?


2009/1/5

高鼾の店主の寝顔を見ながら私はぼやく・・・

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