12月に入ると報恩講の丸餅は一合取りの大きな丸餅の注文を最後に少しずつ減って来ましたが、気の早いお客様からの正月餅の注文を受けたりと気忙しくなってきました
そんな中、12月4日の北国新聞に「みたま」の記事が載っていて改めて考える機会がありました。
当店で作る「みたま」とは、餅米を蒸し上げた中に別に煮た黒豆を混ぜ込んで仕上げたおこわです。
使われるのは法事など仏事の時や、家の建前の時に赤飯の代わり(赤飯は火事を連想すると云って)に注文されるなど限られていますが、店頭に並べると立ち寄られたお客様に珍しがられて買い求められる事が多いものです。
新聞には、かほく市では「めだま」と呼ばれ春秋の神社祭礼で甘くゆでた黒豆入りおこわを作られるそうで、黄粉をかけておやつ代わりにもなると載っていました。
また白山市美川地区では、「みたま」と呼ばれ藤塚神社の春季礼大祭『おかえり祭り』で台車神輿が通る〈おかえり筋〉の町内だけで振る舞われ、他の町内では赤飯・太巻きが出されるそうです。
「みたま」のルーツと云えば、加賀料理では『古くは季節の変わり目などに病を避けるために食べられてきた節句料理』との説が載り『ハスの葉に包んだおこわ』と書いた十一代藩主時代の料理書もある様で、黒豆が入っていたかは定かでは無いとの事です。
「みたま」は「御霊」とも通じ、神仏と同様に神聖な食べ物で転じて神仏に奉げるおこわ料理を「みたま」と呼ぶようになったとも云われているそうです。
では「めだま」と呼ぶ地方が有るのは何故か?とは、おこわに混ぜられた黒豆を見て目に似ている事や「みたま」の音が方言と成って自然と広まったのではないかとの事だそうで『有難く頂く』気持ちは同じ様です。
金沢では十数年前まで、火事の時『近火見舞い』のお返しとして真ん中に黒豆を3〜5個のせた白砂糖の箱詰めに「目玉」と書いたのし紙をかけ配ったものです。
三斤入り五斤入りと重みに耐える様底を二重にした特注の箱に詰めていましたが、箱詰めの砂糖は長く置いておくと硬く固ると云われ袋入りになり角砂糖になったりで、その後スーパーなどで砂糖が特売品になったりして自然に用いられなくなった様です。
「餅」や「おこわ」は神仏への奉げものとして作られてきたものの様で、それで商わせて頂いている事に今一度心して行かなければと思っています。。
「赤飯」も「みたま」も、おこわはしと(打ち水)しだいと得意そう!