OKAMIのぼやき

 

三代目の饅頭屋に嫁いで30数年、この中で結ばせて頂いた数々のご縁・・・
商売とはまるで縁のない家庭に育ち一つずつ教えられ今日が在る。
でも・・・これは?と云う思いがぼやきとなる。

『賞 味 期 限 っ て・・・』

6日のテレビで、再開なった〈赤福〉の販売の様子がニュースに写し出されていた。
夜中からの徹夜組も大勢いて、5時開店を待ち兼ねる人達が店の先の橋の上にまで立ち並ぶ姿がさすが〈赤福〉!200人近くのお客様が買い求めたとか。      

 去年の秋の講演会で繁盛店のひとつとして紹介された話では、一つの商品で何百年もの時代をくぐり抜け戦後の思った原料を調達出来ない時は2〜3年店を閉じながらも再開して今を築いたと云う、老舗とはこうしたものなのか・・・ 
 
 問題となった賞味期限の張り替えに始まってか、菓子業界では随分ときびしい指導があった。

先日も某菓子店へ進物品を買いに行ったところ、食品表示指導のもとで今までのシールの期限表示は認められなくなり、どんな小さな菓子包みにも包み紙に直接の印刷表示となり去年の暮に高額の器械を入れたりで大変な出費だったと云う話や、納品しているデパートからは賞味期限前何日と定められた日になるとまだ柔らかい菓子が返品されて来るとの事、店で売る事も出来ず自分達が食べるか破棄するしかない。「お菓子が可哀相だから!」そう言って頂いた菓子は本当に柔らかかった。           

幸いにも当店の様に製造元以外では販売していない店は、今のところきびしい指導はないが・・・「今日の内に食べないとかたくなるよ!」と言って、朝製造した品物を中心に冷凍庫も持たず残れば自家消費か破棄、『勿体無いからなるべく売り切る量しか造らない!』方針の店主の為、わざわざお越し下さったお客様には品切れで迷惑をかける時も多く誠に申し訳ありません。

〈赤福〉も当日限りと云う時には、数多くの売り場でのお客様の求める数と一日に製造出来る数との違いをうめる為に冷凍とか色々考慮する点もあり、先日は製造が間に合わず3時間待ちの人もいらした様だ。同業者として少しの同情はある・・・

このところの数々の不祥事で新聞やテレビでよく聞かれるようになった、コンプライアンス(法令遵守)と云う言葉は横文字の苦手な店主でも理解している。が、店の餅一個づつに日付を付けるように義務づけられたその時には店主は店を閉める事を考えるかも?   
  
 品物の再生なども問題になった様に思うが、それとは少し違うと云う事で昔生菓子が今よりもたくさん売れた時代、2〜3日毎に炊き上げる餡の中に1〜2日で残った品物から出した餡は混ぜて炊き直す・・・一回に沢山の餡を炊いていた時代どこの饅頭屋もしていた事だと思うし火を通せば良いと教えられていた。
それが否定されるならば、先代から受け継いで炊き足している秘伝のタレ・ダシ、おばあちゃんの時からの糠床なども?となるのでは・・・ちょっと違うかなぁ〜。   
 賞味期限前の物でも製造過程のちょとしたミスで傷んでいる事もある。食べて良いか悪いかは、自分の目・鼻・舌で判断する力を私達は少しずつ失ってきたのかも・・・


人間にも賞味期限を付けるなら何回シールを張り替えて来た事か・・・まあ〜お互い様だけどねぇ〜


2008/2/10

高鼾の店主の寝顔を見ながら私はぼやく・・・

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