OKAMIのぼやき

三代目の饅頭屋に嫁いで30数年、この中で結ばせて頂いた数々のご縁・・・
商売とはまるで縁のない家庭に育ち一つずつ教えられ今日が在る。
でも・・・これは?と云う思いがぼやきとなる。

『つ き 直 し & 寒 餅(かき餅)・・・』

 今年は6日の小寒を過ぎても比較的暖かい日が続きましたが、大寒を前にようやく金沢の冬らしく寒い朝を迎えている。兼六園の雪つりも2・3日前から冬景色らしくなってきた。
当店では例年の様に、鏡餅のつき直しや寒餅の注文がボチボチと・・・      

 つき直しの餅は、寒の水に一週間ほどつけ〜カビを取り細かく切って〜ほぼ一臼分ほどを蒸し直し〜やわらかくなったのをつき直し〜のし餅にしたりとぼ餅にしたりする。
少し餅米を足してしっかりした餅にと云われる方もいるが、ほとんどとぼ餅に豆や昆布を混ぜたりしてかき餅用に切り干している様だ。かき餅でなくてもつき直しの餅は焼いて食べた方が良いと思う。あん入りの大福にして親しい人達に配っている方もいる。

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地震で被害にあった能登の総持寺でも、つき直しの餅でかき餅を造り僧侶のおやつとする為大勢の人で造ってるのがこの時期の風物詩だ。
辞書によれば、かき餅は『欠餅』と云って正月11日に取り下げた鏡餅を寒の水に漬けおき刃物で切る事を忌み、手で欠いて小さくして乾燥した物をいうらしい。鏡餅が少なくなった今、わずかな餅でもつき直したり昔ながらに家庭で水につけ少しずつ食べると云うのは「もったいない」との気持ちがあればこそと思う。

 昨年も12月中頃から、県内のあちこちでかき餅造りが始まったとのニュースを聞いた。   
2ヶ月程干して都会の方へ出荷との事で倉庫の中に暖簾のように下がったかき餅は見ごたえがある。でも、寒餅は寒の水につけた餅米で搗き寒のうちから干してかき餅にするものと思っている私達には不思議に思われる。「大寒に入ってから!」と念をおされるお客様もおられる。

 寒餅は、切った餅を縄で編み込む人も少なくなり又干す場所も考えなくてはならず、この先世話をする人がいなくなるのでは・・・
 かき餅になってからも食べる時には、まめに焼いておく人がいないと結局食べないまま一年置いてあったと云う話をよく聞いたりする。
とにかく最近は、手軽にすぐ口に入るものをと思う人のほうが多い様に思う。核家族化でまめに手をかけて焼いておくと云うゆとりのあるお年寄りもそばにいなくて、かき餅も欲しい時には焼いて売ってあるのを食べる方が多いのでは・・・

 寒餅を搗いて、かき餅用に切って縄で編む一連の作業を体験ツアーみたいに出来ればおもしろいかなぁ〜なんて思ったりするが、搗いた餅は2日置かないと機械で薄く切れないし、持ち帰った餅を干す暖房のない外気の当たらない場所というのも無理かなぁ〜なんて思うと、頭の固い店主に提案するのも二の足を踏む。
 でも、以前干し柿をハンガーに結んで軒先に干してあるのを見た事があり、工夫次第ではと思ったり・・・
 出来上がったかき餅も、焼いて食べなくても紙袋に入れてレンジで一分程で結構おいしく食べられるし・・・


すたれゆくのを手をこまねいて見てるより、わずかでも興味のある人に伝えてゆくのが使命なのではと思うんだけどなぁ〜。


2008/1/20

高鼾の店主の寝顔を見ながら私はぼやく・・・

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