OKAMIのぼやき

 

三代目の饅頭屋に嫁いで30数年、この中で結ばせて頂いた数々のご縁・・・
商売とはまるで縁のない家庭に育ち一つずつ教えられ今日が在る。
でも・・・これは?と云う思いがぼやきとなる。

『 風 の 盆・・・ 』

8月も終わりと云う頃から、11〜12号と立て続けに台風が来て12号はこれまでになく大きくゆっくり停滞し『各地に風雨の被害が多きくなるだろう』との予報が出たせいかどうなのか、9月1日に店主が「1日やから!」と張り切って生菓子を作ったものの人通りも少なくごっそり残り、2日もさっぱりでガックリ来た店主「明日は土曜日で台風も近付く云うとるし!」と云って早々に3日〜4日連休と決めました。
         
 それを幸いに?2日夕食後急に思い立って、富山行きの高速バスに乗り富山駅から電車に乗り継ぎ“八尾《風の盆》”を見に行って来ました。  
  
 300余年前の元禄時代に始まった祭りが、二百十日に風神の鎮魂を願う《風の盆》として年に三日間(9月1日〜3日)ゆるやかに舞い静かに心の揺れを聞く祭りとなって明治40年代には胡弓も取り入れられ、唄(越中おわら節)演奏(三味線・胡弓)の地方(じかた)と共に半月の編み笠をかぶった踊り手がゆるやかに八尾の坂道を進む姿、特に夜のぼんぼりの薄明かりの中で見る踊りは幻想的なものだそうです。
 
 越中八尾駅に降り立った時は午後10時近く、駅前は帰りの人達が次々と押し寄せてきていました。
 「通は今から!」八尾の踊りは夜通しと、店主の昔来た記憶・私が数年前に来た記憶で遅くに来たものの少々不安になって案内所で聞くと「踊りは11時で終わる。」との返事、後は11町会の踊り手の気分次第らしい最後の踊りを求め残っている人波の中を急ぐ私に街並みを見ながらブラブラと付いてくる店主。

 
風の盆  風の盆  風の盆
 

町流しには出会えなかったものの、町屋の2階で踊るのを見たり踊り手が一人づつ去って行く最後の踊りを見たり、其処ここから聞こえてくる《越中おわら節》にうっとり・・・小雨模様で途中膝から下がずぶ濡れになる様な雨にも遭いましたが、心配していた帰りの電車も八尾から富山への臨時列車に接続の金沢行き臨時列車で午前2時過ぎ金沢駅に到着。小さな旅のせいか夢の中の様な風景を観てきたせいなのか、なかなか寝付けませんでした。

 明けて3日の朝、予報より遅い台風の動きで金沢は予報より天気は崩れず、各地の大きな被害に心を痛めながらも店主は「今夜行って夜明かしして、4日朝八尾駅始発の電車見送りの踊り見た方が良かった!」と繰り返し言っていました。
 
 5日の北国新聞に、『JR越中八尾駅《見送りおわら》は4日早朝、富山県民謡越中八尾おわら保存会福島支部会員が始発列車で帰途に就く観光客をホームで踊って見送が行われた。《見送りおわら》は昭和30年代、観光客に感謝の思いを伝えようと町民がホームで踊ったのが始まりで、午前5時52分発富山行き午前6時16分発猪谷行きの発車に合わせ法被姿の男性と着物姿の女性が胡弓と三味線の音色に合わせ優美な踊りで見送った。』と載った記事を見て、店主の悔しがり様は・・・


汽車が大好きな貴方、そこに《おわらの踊り》があれば極みだね!


2011/9/5

高鼾の店主の寝顔を見ながら私はぼやく・・・

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