OKAMIのぼやき

 

三代目の饅頭屋に嫁いで30数年、この中で結ばせて頂いた数々のご縁・・・
商売とはまるで縁のない家庭に育ち一つずつ教えられ今日が在る。
でも・・・これは?と云う思いがぼやきとなる。

『 土 用 っ て ・・・ 』

土用とは、暦法で立夏の前十八日を春の土用・立秋の前十八日を夏の土用・立冬の前十八日を秋の土用・立春の前十八日を冬の土用と云い、その初めの日を土用の入りと云うそうです。

 普通に云う土用とは夏の土用を指し、「土用の丑の日」に鰻を食べると夏負けしないと云われてますが、ここ数日の産地偽装問題やその他数々の疑惑で今年の土用の鰻の人気にも影響が出るのではと心配されます。     
 
 金沢では、土用の間に娘の嫁ぎ先へ『土用餅』として“ささげ餅”などを持って行く事が習わしとしてあります。これも 「土用の時に搗いた餅を食べると夏負けしない!」との謂われの様です。。
現在は、菓子組合の人達が『土用餅』として“あんころ餅”の様な生菓子を宣伝している様です。 
 
 「土用干し」と云った、夏の土用に衣類や書籍など虫干しする習慣も着物が日常着だった時代の昔話となり、『土用餅』を贈る事も昔話となって来た様に思います。
 
 生菓子屋の夏は『氷室』を終えると本当に夏休みとなりますが、それでも数年前までは「お盆に皆が集まるから・・・」と赤飯を注文されたり、帰りに生菓子を持たせたりと結構忙しかったものです。
でも最近は、お盆に集まったら皆で食事に出かけたり「暑い時に餅なんて・・・」と帰りに持たせる物も変わってきた様です。。 

 店主が子供の頃、当店の夏はアイスキャンデー作りで忙しかったそうです。  
二代目は先見の明がある人で、いち早くキャンデーを作る機械を取り入れ夜なべ仕事でキャンデーを作り売りさばいていた様で、今の様に袋や箱に入れるわけではない冷凍庫に入った裸のキャンデーが無造作に売られ製造法・材料・賞味期限などとはかけ離れた、のどかな商売だった様です。
店主は、野球場(昔は兼六園の横にあった)の売店や海水浴場の浜茶屋まで配達して忙しかったと云っています。。

 近年は、生菓子店の集まりに行って皆さんの話を聞いても毎朝餅を搗いているのは当店以外数店で驚かれる様で、お客様の嗜好が目まぐるしく変化している中「昔ながらの事をしていて良いのか?」と悩む夏を過ごしております。 

 融通のきかない頑固な店主は「自分の代はそれで通す!」と言っているので『平野屋へ行けば朝搗いた餅がある!』と皆様に可愛がってもらうしかありません。。 

  

暑い中、熱い餅を搗きあげる、朝の一仕事が夏の健康法かもね・・・


2008/7/9

高鼾の店主の寝顔を見ながら私はぼやく・・・

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