「明けましておめでとうございます」と、挨拶を交わすのがはばかられるような年が明けました。
暮れの餅搗きを無事終えて、元旦は皆で雑煮を食べた後に墓参りに回った。
例年になく春のような日で、数日前に積もった雪も暮れの好天続きで融けてしまい、卯辰山墓地の芝生も乾いていた。
昼過ぎから、店主は寝床で娘と私は居間で横になっていたが、目覚めて1時間ほど経った時に異常な携帯音が鳴り響き揺れた。
目の前に寝ていた娘を起こし、食器棚と冷蔵庫を必死で押さえた。生まれて初めて体感する揺れは本当に怖かった。
2階から下りて来た店主が、寝ていた部屋は箪笥の扉が開き、中に重ねてあった衣類が雪崩のように落ちて来たと報告し、もう一部屋も物が散乱していた。
食器棚の物は前にずれていたが割れず、娘の指示で夏に整理したのが幸いだったと、元の位置に戻しながら感謝した。
それからも余震が続き、「小立野は地震も洪水も無い」と言う店主の信念が脆くも崩れた。
先ずは腹ごしらえをしてからと小豆餡と餅でぜんざいを作り、テレビで報道される能登の惨状を痛ましく見ていた。
夕方から店の前には車が連なって停まり、隣のコンビニのレジ前は長蛇の列だった。
食べ物が身近にある安心と、暖かい明るい部屋で過ごし、栓をひねれば水が出る幸せに感謝し、被災地の人々に申し訳なく思っている。。
貴方の喜寿と夫婦の金婚式、記念の年が何とした事に…